ナツメ

そしてまた思ったんだ。


わたしは愛されてはいけない。
愛されることなど望んではいけない。

なのに、もう、呪文は効かなかった。

修に愛されることを知った心は、その呪文を受けつけない。

一度乾きを潤された心は、もう二度と砂漠に戻りたがらない。

拾われた小石は、風の吹きすさぶ荒野に戻りたがらない。


愛されたいと心が悲鳴をあげた。


愛されなければ、心が、ぶっこわれてしまう。