ナツメ

そうして幼い子供は、純粋な心を自分で切り刻む。

わたしは愛されてはいけない。
愛されてはいけない子供なんだと。

気に入られよう愛されようとすればするほど失敗する。

失敗しては怒鳴られ殴られ傷を負う。
身体も心も。

身体の痛みは耐えられる。
けれど、心が痛むのは堪らなかった。

心が痛いのは、愛されたいと甘えているから、愛されないと知った時に痛むのだ。

だから呪文のように唱えた。

わたしは愛されてはいけない。
誰にも愛されてはいけない。

不思議とそう思ったら心が楽になった。