ナツメ

そんなわたしを見かねてナツメが立ちあがり、わたしの傍へとやってきた。

わたしの手からカップを奪っていく。

最後の一口をナツメは口に含んで、わたしの顎をキレイな手で掴む。

ゆっくりとナツメの顔が近付いてきて、唇が触れる一歩手前でゴクンとナツメがコーヒーを飲み下す音が聞こえた。


思わず目を開けると、唇に一瞬。

ほんの一瞬だけナツメの唇がくっついて離れた。


わたしの口の中は、からっぽだ。