イノセンス・タブー

暫くの沈黙。


私達は見つめ合ったまま動かなかった。


そして、将也が私に耳元で囁いた。


「俺は、さ…」


「うん?」


ちゃんと聞こうと思った。


「今までで好きとか思ったことねーし」


「うん…」


「何も感じなかったから」


「ん…」


「でも、雛はどーでもいいとか思えなくて…」


それは兄弟だから?


「だから、それは俺達が兄弟だからなのかわかんねーから」


「…う、ん」


「我が儘かもしれないけど、」


目が熱い。


私は今泣きそうになっている。