イノセンス・タブー

『俺、一人暮らしする』


はっきり将也はそう言った。


何となくそんな気がしていた。


将也がそうしなかったら私がそうするつもりだった。


「そうなの」


どうか普通の声が出せていますようにって祈った。


実際には湿った声が出ちゃったけど。


「そうだよ」


「どこ受けんのよ」


「さあ?四国とか近畿の方」


「随分遠くですね」


「ん」


――この部屋はまるで海のよう。


深い深い海。