「将也?」


そっと耳元でささやく。


カーテンからは少し光が漏れている。


すっと腕が伸びてきて、私を抱きしめる。



ちゅ、と音がして、首筋に暖かいものを感じる。


「雛子」


「ん…?」


「もう少しだけ寝よ」


ぎゅっと抱きしめられる。


首筋に顔を寄せてくる。


さらさらの柔らかい髪。


将也の髪を梳いたら寝息が聞こえてきた。


「将也…」


将也の体はいつもひんやりと冷たい。


お母さんの目が覚めるまであと1時間。