小学生の時のことだ。


うだうだと本を読んで暇を潰していたときのこと。


将也がどっか行かないか、と提案してきたのだ。


「どこに?」


「…」


「あてはないの?」


「ない」


「お母さん逹にはなんて言ったの?」


「何も言ってない」


唇を横に引いてにやりと笑った。


「行きたいとこ、あるよ」


楽しくなって私も笑った。