イノセンス・タブー

「なんか言った?」


「まー将也ならすぐできるよ」


「暫くいい」


私は寒くてもっと背中にしがみついてしまう。


「なんで?」


信号が変わる。


一旦会話は切れてバイクは走り出した。


「まさやー」


もう将也は返事をしなかった。


寒い風だ。


私は将也に彼女がいることすら知らなかった。


将也は私の知らない部分があるだろうか?


知らないとしたら、それはきっと――。