イノセンス・タブー

「帰ろ」


ふっと笑って将也は言う。


何が大丈夫なのか…


いつも私は聞けない。


だから黙って後ろに座った。


目を閉じる。


エンジンの振動と将也の背中。


ゆっくりと夜に溶けていく。


「ねー将也!」


私は叫んだ。


「何?」


「さっきなにしてたのー」


風が冷たい。


まるで私に突き刺さってくるように。