イノセンス・タブー

「あ、」


教室に人がいた。


私の隣の席の女の子だった。


単語帳を広げて机に突っ伏して寝ている。


――受験が近い。


起こすのもなんだか悪い気がしたのでそのまま立ち去った。


「将也」


かわいい女の子の声。


私はとっさに隠れた。


とりあえずその子が帰るまで待とうと思った。


「将也」って呼んだ女の子の声が離れない。


ぎゅっとヘルメットを抱きしめた。