あなただけを見つめてる


「ありがと……」

まだ手が震えている。


「杉山くん…奈子…ありがと……」

あたしに続いて美波が言った。

「なんで美波はこんなとこに居たの?」

「チョコ溶かしてたらいきなり腕引っ張られて……」


「……。 令斗はなんで?」

「チョコバナナ買いに行ったのに奈子が居なかったから…」

「そゆことか……。」

「なんで俺を呼ばなかったんだよ…」

令斗は小声で言った。

「えっ? なに?」

「なんでもねぇよ」

あたしははてなマークを浮かべながら自分のクラスへと帰った。