彼がいなくなって私はあの日の自分を何度も何度も責めたけれど、どんなに後悔したって時間は元には戻らない。



起こってしまったことはなかったことには、もうできない。



言った言葉はなかったことには、もうできない。




彼のいない寂しさに少しずつ慣れてきて、埋まらない喪失感にもやっと少しずつ慣れてきて。彼をキレイな思い出の中に閉じ込めて、もう本当にキョウちゃんとはサヨナラできるのかも知れないと思っていたのに



『……クソオンナ』



私はまた、彼に出会ってしまった。






あの頃よりずいぶん背も伸びて体も逞しくなって、声も少し野太くなって、少年ではなく素敵な青年に変化していたキョウちゃん。



でも、自信満々なあの目も
あの生意気そうな口ぶりも
何もかも変わらない。



あの頃のまんま。彼を形作るパーツは何一つ変わらない。





だけど……
私たちの間には、あの雨の日が横たわる。



大切な親友・綾音との恋を祝福してあげたいと思うのに私にはそれが出来ない。



どう考えたって無理だ。
ムリだ、無理だ、無理すぎる。



あんなことされた相手と親友の付き合いなんて、どう頑張ったって祝福できない。