もう一度気持ちを新たに


「美織…。」



最後にもう一度だけ、美織の肩を抱いてコトに及ぼうとしたその時。



「じゃ、行くか、響弥~~!
時間前行動は社会人としての責務だかんなっ!」


「え、えぇーーっ!!?」




嬉しそうに
そんな言葉を吐くクソオヤジに俺は首根っこを掴まれて、強引に連行されて





半ば強制的にオヤジの車に無理やり乗り込まされて



「じゃぁね、キョウちゃん。
元気で。」


「え…??
あ、あぁ。オマエも元気でな。」




窓越しに交わしたそんなどうでもいい一言が美織と交わした最後の言葉で。




「いやー。やっぱりいいよね。
家族団らんっ!!」




俺の隣でニコニコ満足そうに
ルンルンで運転するオヤジに限りない殺意を抱きつつ




俺は何とも言えないモヤモヤ感を抱えたまま、アメリカへと飛び立ったのだった……。