あの時のキョウちゃんはかっこよかったな……。
私はしみじみそう思う。
いつもはTシャツにジーンズっていうラフな格好なのに、スーツを着たキョウちゃんはホントに大人の男の人で、とってもかっこよく見えた。
人間の視覚って不思議だな。
いつもと違う格好を見せつけられただけで、ドキドキして、キュンとなる。
「は~ぁ。その逆もあるだなんて初めて知ったよ……。」
見られるだけで恥ずかしい。
私のカラダの上でセクシーなオスの表情をしたキョウちゃんを見つけてしまうと、恥ずかしくていたたまれなくなる。
自分を隠したくてたまらない。
逃げ出したくてたまらなくなる。
あの瞳を見つけるたびに
興奮したあの表情を見つけるたびに
私は逃げ出したくなってしまう。
「ヘタレだなぁ…私。」
さっきはキョウちゃんのコトを“ヘタレだ”なんて思ってたけど、一番のヘタレは私かもしれない。
そんなことを考えながら
無造作に椅子に掛けられたスーツを見つめて、ハァ~と大きくため息を吐くと……目の前に、とある物体を発見してしまった。
ソレは今までの私の苦悩を解決する、魔法のアイテム!!
――こ、これがあればいける!!!
私はベッドから飛び出して、その物体を手に取ると心の中で大きくガッツポーズをする。
「よ、よし!コレをこうして、こうすれば…!!
うん!!!カンペキ!!!」
私はその物体を使って少し細工をすると、ウンウンと大きく頷く。
――お、お待たせしました、キョウちゃん!!
カンペキです!!
コレで私、初Hに挑めますっ!!
私はその想いを胸にしながら
ヨロヨロと歩き出して、ドアノブに手をかけた。


