「あぁ、そうだよ。俺は美織が嫌いだよ、大ッキライだ!
オマエの鈍感な所も無防備なところも何もかもがムカつく。その顔も声も何もかも、イラついて仕方ねぇ!!だから……もう……俺の言ってる言葉の意味がわかんねぇんなら、俺の目の前からキレイサッパリ消えてくれよ!」



燃えるような怒りをたたえた目をして、キョウちゃんは私にそう言い切る。



「……最低……。」



女の子をこんなに傷つけといて、出てきたセリフがそれなの??


嫌い

ムカつく

消えろ??


ひどい言葉の羅列に私は思わず絶句する。





ごめんなさいもなければ、悪かったの一言もないの??


意味のわからない怒りをぶつけられても、私だってムカつくよ!!


そう、思って。



「あっそう。
じゃあ、もうここには来ない。
キョウちゃんに一方的に理不尽な怒りをぶつけられても、私は困るし、こっちだってムカつくもん!」


怒りながらそう返すと
キョウちゃんはグッと唇を噛み締めたまま


「ほんとに……俺が言ってる言葉の意味、わかんねぇの?」


苦しそうに、そう問いかける。



その問いに


「……わかんない。
キョウちゃんが私のことが大嫌いなんだ、って言うことはよくわかったけど。」


冷たく返すと
キョウちゃんは、グッと手のひらを握りしめて、こう告げた。





「じゃあ……
美織とはこれでサヨナラだ。」






そう言って、
彼は振り返ることなくテクテクとドアに向かって歩いていく。



そしてドアノブにゆっくりと手をかけると



「あと一時間くらいしたら、父ちゃんが帰ってくるから送ってもらえ。俺のクローゼットにあるジャージ、貸してやるから制服乾くまでは着てりゃあ、いいから。」



それだけを呟いて
彼は部屋を後にした。