「ま、ウチの掃除をちゃんと勤められるようになったら龍に話してSGスイミングスクールの掃除係ができるように話してやるから、安心しろ。」



「掃除係かよ!!」



「当たり前だろ?
こんな不祥事を起こしたオマエがだよ??
卒業してすぐ『ハイ、藤堂コーチでぇ~すっ!』って人前に出る仕事ができるはずないだろうが。厚かましい。」



そう言って
満足そうに微笑むパパに、私を抱きしめたまんま不満をタラタラと語るキョウちゃん。そんな二人を優しく見つめる、仁くん。




――ううーん。

ママはよくパパのコトを“ドS”って言うけど、それはこういうところなのかなぁ。だって困ってるキョウちゃんを見つめるパパは心底嬉しそうなんだもん。



今までよく見えなかったパパの隠れたS気質を呆気に取られながら見つめていると



「はいはい、そこまで。
とりあえずウチに帰るよ??ケンカはその後ゆっくりやりなよ。」



ニッコリと柔らかに微笑みながら、仁くんが二人の仲裁に入る。




仁くんはゆっくりと私からキョウちゃんの体を剥がすと


「オマエに怒ってんのは慎だけじゃないんだよ?俺だって例外じゃないんだからね??」


そう言って二ーーーッコリと
それはそれは二ーーッコリとキョウちゃんに笑いかける仁くん。




「う……!!」




その笑顔の裏に隠れた恐ろしい怒りに勘付いて、情けなくビビッてしまったキョウちゃんは思わず言葉をなくす。