私は恐怖を押さえつけるように、彼の体をギュッと強く抱きしめる。
――ガマン……しよう。
もうこれ以上、キョウちゃんを失望させたくない。
怒らせたくない。
ケンカしたくない。
私が……悪いんだもん。
SEXが怖い私が悪いんだもん。
私が……おかしいんだもん。
みんな普通にしてることを怖がる私が一番おかしい。
目の前にいる
抱きしめているこの人は、私をそうした張本人。
この人のせいで私は男の人と二人きりになることが恐くなって、SEXに対して激しい恐怖心を持つようになってしまった。
私をこんな風にしたのはキョウちゃんなんだから、自業自得と言われればそうなのかもしれないけれど、やっぱりそれでも考える。
こんな風に思ってしまう私は
女として失格なんじゃないのかな、って。
抱き合うことに
愛し合うことに嫌悪感を抱く私はおかしいんじゃないのかなって……。
キョウちゃんはそんな私の想いを知りもせずに、ゆっくりと水のなかを歩いている。
彼を抱きしめながら私は想う。
どうかキョウちゃんに気づかれませんように。
怖いと思っている私も
我慢しようと思っている私にも
どうか気づきませんように。
そんな願いを込めて、私はキョウちゃんを抱きしめる。


