雨が見ていた~Painful love~



『俺じゃダメだ。
俺じゃオマエを救ってやれない』



そう言うクセに
彼は私の体を離そうとしてくれない。



言葉とは裏腹なキョウちゃんの行動が
いとおしくて、やるせなくて


どんな気持ちでこんなことをしてるんだろうか、と想像すると切なさが込み上げて涙が溢れる。





――キョウちゃん……




私は震える手を必死に伸ばして
彼の背中にそっと触れる。



その瞬間
驚いたようにビクンと揺れる、彼のカラダ。



恐怖で小刻みに震える指を必死に押さえて、彼の背中にゆっくりと手を伸ばすと




「…っ!!」



彼はもっと強い力で私の体を抱きしめる。
もう壊れそうなぐらい、これ以上抱きしめられたら、体中が潰れちゃう!っていうくらい、強く強く抱きしめる。




なんでこんなところで弱腰になるの??
いつもの強引さで引っ張って行ってくれればいいのに。



バカな私なんて気にせずに
フラッシュバックで苦しむ私なんて気にしないで、自分の欲望を押し付けてくれればいいのに。


いつもみたいに全部全部私のせいにして
無理やり私を奪ってくれればいいのに。




大きくて小さな彼を抱きしめながら
そんなことを思っていると
目の前にいる弱虫オトコは、こんな言葉を口にする。





「好きだから。
オマエのことが好きだから、サヨナラだ。
美織、オマエは拓真を選べ……。」





バカだ、キョウちゃんは大バカだ。
不器用で弱虫で、変なところで気遣いをしちゃって。


そんなだから、私、わからなかったんだよ。



キョウちゃんの気持ちも
自分の気持ちも
煙に巻かれて見えなくなって


全部全部がわからなくて
やっと気づいたと思ったら
こんなに時間がかかってしまった。




目の前にいるこの人は
誰よりも強くて、誰よりも自信家なのに、誰よりも不器用な人。




誰よりも愛しくて
誰よりも憎い、私の大切な幼なじみ。