雨が見ていた~Painful love~



何だか少し興奮したような
子どものような彼が愛しくてかわいくて
思わず彼の背中に手を伸ばそうとすると



「でも…な?
俺じゃオマエを救ってやれねぇ。」



私の体を抱きしめていた力を少し緩めて
表情一つ見せずに、冷静にキョウちゃんは肩越しにこう囁く。






「どんなに好きでも、どんなに求められても。
俺はオマエを救ってやることは、きっと一生できねぇ。俺はオマエを苦しませることしかできねぇ存在だ。」


「……!!」




ちがう…!
ちがうよ、そんなことない!!



そう叫びたいのに…
一度パニックを起こした体は、簡単には私の言うことを聞いてくれなくて、上手く言葉が出てこない。




黙ったまんま
ガタガタと体を震わせたまんま、否定も肯定もできずにその場に立ちすくんでいると



「同情でもなんででも。オマエが俺を“好き”だと言ってくれて嬉しかった。
バカでお人よしのオマエを騙してでも何ででも、オマエを手に入れられるならそれでいい。昔の俺なら間違いなくそう思ったと思う。
でも…今は違う。」




そう言って
キョウちゃんは私の濡れた髪の毛に指を絡める。




いとおしそうに
彼がいとおしそうに私の髪に指を絡めるたびに、ポチャン…ポチャン…と水音が小さく跳ねる。




いつになく優しく穏やかなキョウちゃんの声



そんなカレに応えたい
もっともっと話したい



そう思うのに…
私はまるで陸に上がった魚の様にパクパクとただ口を動かすだけで精一杯で、唇からは何一つ言葉が出てこない。



月の光が輝く、プール
月の光に照らされた、いびつな形をした幼なじみの私たち。




キョウちゃんは私を抱きしめた手を離さない。