もう明らかに違う方向に怒りが向いて
ワケがわからない状態になっている、キョウちゃん。
キョウちゃんは
「嫌いだよ、オマエなんて!!!」
大声でそう叫んで私を高く持ち上げたかと思うと、いつかの光景の再現のように私を思いっきり遠くに投げ捨てた。
バシャァァァァン!!
水の中に投げ飛ばされて
またまた沈む私の体。
その瞬間
心の中に芽生えたのは恐怖でも悲しみでもなく、激しい怒り。
――む、むかつく…!!
スキだって言ってんのに!!
同情じゃないって言ってんのに!!
人のコト鈍感だ、鈍感だ、って言うけど自分はどうなのよ!!
もーーーー!!
あったまきた!!
怒り狂った私は強い。
プハァと水の中から飛び起きて
「バカはどっちよ!バカは!!」
「…はぁ~~??」
「スキだって言ってんじゃない!!
同情じゃないって言ってんじゃない!!」
水に濡れた髪を額に張り付かせながら
「私はアンタが好きなのよ!!
この…鈍感男~~~~~~っ!!!!」
そう叫ぶと、キョウちゃんは一瞬時が止まったかのように絶句して。信じられないとでもいいたげに、私の顔をじっと見つめる。
言葉もなく
何もなく
二人の体から落ちる水の音しか聞こえない、静かな時間。
永遠にも似た、その時間。
最低限の非常灯と月の光だけが差し込むプールの中で、どれくらい見つめ合っていたんだろう。
永遠に続くかと思えた
その沈黙を破ったのは……
「なぁ……。」
「え…??」
「それ、正気で言ってんのか?」
沈黙を破ったのは、カレだった。
「友達だとか、幼なじみだとかじゃなく。
お前は俺を好きだって言ってんのか??」
「キョウちゃん……」
「教えてくれ、美織。
お前のいう好きは俺と同じ“好き”なのか……??」
キョウちゃんはなぜか泣きそうな顔をして
水の中をゆっくりと歩き、ゆっくりと私に近づいてくる。


