知らなかった。
こんな感情が自分の中にあっただなんて、ちっとも知らなかった。
「スキ…だよ、キョウちゃん。
好きだから。キョウちゃんが好きだから、私はここにいるんだよ!!」
彼の厚い胸板に顔をうずめながら
お姫様抱っこをされたまんま、彼に思いの丈をぶつけると
「…オマエ…ほんとにムカつく……。」
静かに怒りを抑えた瞳をして
キョウちゃんは私を見下す。
その怒りの意味が分からなくて、彼の顔を見上げると
「オマエの好きって俺のスキとは意味が違ぇだろ??」
「…え…??」
「クソ美でバカ美で鈍感なオマエの好きは、どうせ“幼なじみとして”の好きなんだろ??そんな“好き”をぶつけられても、俺は嬉しくもも何ともねぇんだよ!!!このアホが!!」
そう言って彼は最高潮に達した怒りをたたえた瞳で、私を見据える。
――う…わ……。
いつものキョウちゃんなら
怒り狂って暴走しているであろう、この瞳
この瞳は危険な瞳だ。
私をレイプした時も
雨の中に置き去りにした時も
このプールに投げ込んだ時も
キョウちゃんはこの目をしてた。


