「私…ね??
ずっと引っかかってたの。
キョウちゃんがあんなコトしたのは自分のせいなんじゃないか、って。私がいなければ、キョウちゃんはこんなことしなくても済んだのに、って。」
「美織……。」
「だから、ちょうどよかったの。
私もこんな守られ方は嫌だもん。
私が我慢すればいいことならそれでいいの。
私のせいでキョウちゃんが泳げなくなることの方が、もっとイヤだもん。」
そう…だよ。
私はキョウちゃんの泳いでる姿が好きなんだもん。
誰よりも速く
誰よりも速く
水の中に君臨する王者の様に泳ぐ、彼が好き。
だから……
彼がもう一度泳げるのなら、もういいや。
人は強い生き物だから。
傷ついても傷つけられても、ココロにはちゃんとかさぶたができて、いつかきっと再生できる。
大丈夫。
私はきっと大丈夫。
私は強くてきれいなパパとママの娘だから大丈夫。
自分が傷つくことになるとわかっていても…
彼がもう一度あの舞台で泳げるのなら、それでいい。
そう思って
心の底からそう思えて。
「いいよ、パパ。
私は大丈夫だから。」
パパにニッコリと笑いかける。
そして少し複雑そうな顔をしたパパに
「ま、明日キョウちゃんが全部をぶちまけたら確実に婚期は逃すと思うけど??そこはパパの責任ってことで、責任はちゃーんと取ってね。」
おどけた声でそう伝えると
「…さんきゅ、美織…。」
パパは私の頭をクシャクシャと勢いよく撫でたのだった。


