雨が見ていた~Painful love~



「その日、拓真くんのご家族はいないんだって。」


「……。」


「ほら。私たち付き合って三ヶ月だし……さ?私も拓真くんのコト好きだから、そうなってもいいかなって思ってるんだけど、いざとなるとどうしていいのかわからなくって。」


「…………。」


窓に打ち付ける
激しい雨に、突然光る稲光。


キョウちゃんは喋らなかった。
一言も喋らなかった。


私が話している時、
身動きひとつせず


ため息さえこぼさず
ただ私の話を聞いていた。




――え……、なんで??





いつもは悪態つきながらも、親身になって私の相談にのってくれる、キョウちゃん。




口は悪くても
態度はXLでも
最後の最後には、ひどく優しい




幼なじみのキョウちゃん





いつもなら、ここで聞こえてくるはずの憎まれ口は今日はどこにも聞こえない。



ため息も

言葉も

なにもかも



何も聞こえず、

聞こえてくるのは、雨の音だけ

窓に打ち付ける激しい雨の音だけ――……





部屋の中に充満する
叫び声にも似た、ヒステリックな雨の音。


初めて見せる
彼の反応に何か寒々しいモノを感じながら





「ねぇ、キョウちゃん。
Sexって……どうやればいいの??」





そう尋ねると




「それを俺に聞いて……
美織はどうする気??」




今まで聞いたことのないくらい
低く、威圧感のある声で
キョウちゃんは冷たく私にいい放つ。