逃げるな
欲しいなら欲しがればいい
理子ちゃんとパパが言った言葉の意味は、ひどく似通っているような気がする。
たぶん二人ともこう言いたいんだ。
『自分の心のままに
心の望むままに正直に生きなさい。』
私はずっと避けていた。
キョウちゃんと対峙すること
自分の気持ちと向き合うこと
人の気持ちと向き合うこと
気づいているクセに気付かないふりをして。人と深く付き合うことから逃げ続けて。
自分も周りもごまかしながら毎日を重ねて成長を遂げたおかげで、私は理子ちゃんの言うところの“鈍感な生き物”ってヤツになることに成功した。
気づかなければ傷つかない。
難しいことを考えなければ、自分はいつもイイコでいられる。
それはとても楽なことで、どんなときでも自分を肯定できる、幸せな行為。
だけど……
その無邪気な鈍感さの裏で苦しんでる人がいたことすら気づかずに、私はずっと笑ってたんだ。
大好きな親友が笑顔の裏で苦しんでいることすら気づかずに。大切な幼なじみが何を考え何を思っているのかを感じることさえできずに、私はずっと笑ってた。
何も気づかないフリをして――……ね??
人と深く付き合うことが怖い
むき出しの感情に触れるのが怖い
私の奥底に隠れてる負の感情
でもそこから逃げることは、もうできない。
向き合おう、キョウちゃんに
そして、自分自身に
自分の中の答えは何も見えなくて、この気持ちの出口すら見えないけれど、気づかないフリして笑っているのはもうイヤだ。
無神経な、鈍感な生き物から卒業したいーー……。


