「私は響弥くんが好きだから別れたの。
彼は優しいから私をフろうだなんてしなかったけれど…自分が苦しいから、耐えきれないから彼との別れを選んだのよ!!」
「あ、あやね……。」
「本当は別れたくなんてなかったよ!!
アンタを引き合わせなければ、美織がいなければずっと彼は私のモノだったのにってずっとずっと思ってた!!
美織、私はね??
今でも彼が好き。嫉妬でぐちゃぐちゃになるぐらい…響弥くんが好きよ…!!!」
まっすぐな瞳をして
きっぱりとした瞳をして
綾音は私に“キョウちゃんが好きだ”と言い切る。
その瞳を見て
『逃げられない』
そう思った。
もう逃げられない、と私は思った。
弱虫な私
臆病で卑怯な私は、
キョウちゃんの気持ちも、綾音の気持ちも、自分の気持ちさえもにフタをして何も気づかない、何もわからないフリをしていた。
キョウちゃんがあの雨の日にあんなことをしたのは…私が好きだから。
キョウちゃんがこの前のレースであんなことをしたのは…私を守るため。
綾音とキョウちゃんが別れたのは…私のせい。
ちょっと考えればわかる答えなはずなのに、私はそのすべてに気づかないフリをした。
ううん??
気づかないでいたかったんだ。
私の存在自体が綾音を傷つけていたことに
私の存在自体がキョウちゃんの人生を狂わせていた事実に気づきたくなくて、私はずっとずっと逃げていた。


