――な、なんでそこで私を睨むのよ!
意味の分からない理子ちゃんの視線に腹を立てながら、綾音を見つめていると
「ハッキリ言いなさい。
響弥は誰を好きだって言った??
なんでアンタは身を引こうと思ったの??」
理子ちゃんは綾音を煽る。
綾音がキョウちゃんと別れた理由
それは知りたいと思っていたこと。
だけど…こんな風に知りたかったワケじゃない。ちゃんと時間をかけて、ゆっくりと穏やかに聞こうと思っていたのに…!!
この台風女のおかげですべてが台無し!!
イライラした私が
「もうやめてよ、理子ちゃん!!
綾音…困ってるじゃない!!」
そう、言おうとすると
「私が響弥くんと別れたのは、響弥くんが美織のコトを好きだって知ったから。響弥くんが忘れたくても忘れられない、どんなに忘れる努力をしても忘れられなかった人が美織だと知ったから…なんだ……。」
頬に流れる涙をぬぐいもせずに
まっすぐに私を見つめながら、綾音はキッパリとこう言った。
――え……??
その言葉に頭の中が真っ白になる。
仁くんにも昔、言われたことがある。
『響弥は美織のことが好きだと思う』
あの日はあの言葉を真剣に捉えることなく、なんとなく煙に巻いてごまかしていたけれど…、またこの言葉に直面するとは思いもしなかった。
「そ、そんなワケあるわけないじゃん…。
綾音にはなかなか言えなくて隠してたけどね?
キョウちゃんと私はただの幼なじみで…。」
なんとか誤解を解こうとそこまで言うと
「知ってたよ。」
「…え??」
「響弥くんから聞いて知ってた。
美織は言ってくれなかったけどね?
アンタと響弥くんが幼なじみだってことは、あの日に聞いたの。その時、彼はハッキリ言ったわ。“俺は美織が好きだ”って。」
綾音はこんな爆弾を私に思いっきり投げつけた。


