「正義感ぶるのもいい。
自分の信念を貫くのもいい。
だけどな。男らしさと無謀さは、また別の生き物なんだと思い知れ。」



ハァとため息を吐いてハンドルを握り直すと、パパはマスコミの皆様を一掃するべく、ゆっくりと車を発進させ始めた。




その動きにも諦めもせずに


「藤堂選手!!」

「藤堂選手…!!」


車にワラワラと寄り集まるマスコミの皆様。




そんなマスコミの皆様を気にもせずに



「…なんだよ、それ。
俺がガキだって言いたいのか??」



キョウちゃんはパパに突っかかる。




その表情を見てさらに深いため息を吐くと



「ガキだろ。」


「…はぁっ!!?」


「自分で自分のケツを拭けないバカと、自分の存在価値と自分の影響力を自覚できてないお前は、俺から見れば十分クソガキだよ。」


そう言ってパパはブオンと車を急発進させ、マスコミの皆様を力づくで振り切る。



車が駐車場の外に出て道路を走り始めても、しつこいマスコミの皆様は私たちの車を走って追いかけてきたけれど、信号を曲がり、首都高に車が進んだころには姿かたちはどこにも見えなくなった。



「…よかった…。
もう大丈夫そう……。」



そんな窓の外を見て
私はようやく胸を撫で下ろしたのだった。