その瞬間、私は悟った。
――ちょ、ちょっと待って。
逆効果じゃない!?
今の逆効果じゃない~~!?
絶対怒ってるよ、あの態度~~っ!!!
余計なことすんな!って絶対思ってるよ~~っ!!
キョウちゃんの見せた、いつも通りのそっけない態度に
「た、拓真くん~~~っ!!!!」
泣きそうになりながら助けを求めると
「大丈夫。
アイツ、アレで安心したと思うよ?」
ニッコリとほほ笑みながら、拓真くんは満足そうに頷く。
ほ、ほんとに!?
ただイラッとするタイミングを与えただけのようにも見えるけど!!?
ドキドキしながら水面に目をやると
「うんうん。
緊張感のある中で、いつも通りの行動を見ると妙に安心するもんな~。」
隣に座っている喜多川君は深く深く頷きながら、拓真くんの言葉に賛同している。
――えぇ!?
そんなもんなの!?
喜多川君の言葉がイマイチ信用ならなくて、ハッと振り返ると
「日野さんの言った通り、安心したと思うよ?藤堂は。ま、あとは俺たちにゃぁ何もできないんだし、ゆっくり観戦しようぜ??」
そう言って
少し大人びた表情をすると、喜多川君は私の肩をポンと叩いた。
目の前のプールサイドでは
一人一人の選手紹介が終わり、準備を促すためのホイッスルが軽くピッと鳴らされる。
――キョウちゃんは…4コース
彼の泳ぐレーンを確認すると
――神様、お願い!
キョウちゃんを勝たせて…!!
私は水泳の神様に、必死に祈りをささげる。


