一歩前に進むごとに激しくなる、破壊音
その音を聞くたびに訪れる、意味のない頭痛
――ホント…子どもなんだから!!
『思い通りにならない
↓
とりあえず激しく暴れる』
って…23歳のオトナな男性にあるまじき行為だよ!!?
こんな人が日本の競泳界を背負っているのかと思うと、心配になる。
こんな凶暴な人が私のクライアントなんだと思うと、ガッカリしちゃう。
こんな幼稚な人が私の幼なじみなんだと思うと、ため息しかでてこない。
それに何より……
こんな人が親友の彼氏なのかと思うと、残念で残念でたまらない。
――見る目なさすぎだよ、綾音!!
一歩一歩近づくごとに大きくなる破壊音
この世の地獄に一歩近づくたびに、ズキズキ痛む頭の中
冷たい廊下をゆっくり歩いていくと、廊下の一番奥に『男子ロッカールーム』と書かれた部屋の扉が現れる。
ガシャン!
ガッシャン!
ドンガラガッシャーーーン!!
生々しく聞こえる破壊音
それに混じって…
「ハァッ、ハァッ、ハァッ!!」
荒い吐息すらこの扉の奥から漏れ聞こえてくる。
――間違いない
キョウちゃんはこの部屋にいる。
それを確認すると
私は大きく息を吸って、冷たい冷たいドアノブにゆっくりと手をかけた。


