きっと郷田先生が聞きたいのは“あの日のその後”なハズ。
あのプールに投げ捨てられた日、私は医務室で気を失って…目が覚めたらそこには拓真くんがいた。
優しい、優しい、拓真くんが。
その後…キョウちゃんとは何もない。
『連絡してくるな』
っていう悪魔なメールが届いただけで、直接的な“何か”は何もない。
それに…キョウちゃんには綾音っていうカノジョがいるんだよ?私なんかが入り込むスキなんてどこにもない。
私は彼の幼なじみ。
それ以上に彼のプロモートを担当させてもらってる担当者なんだよ?
「郷田先生。」
「…はい。」
「私と藤堂さんは幼なじみ以上の関係ではありません。郷田先生が思ってらっしゃるような、男と女の関係ではありません。」
私は郷田先生の疑問を吹き飛ばすように、きっぱりとこう言った。
すると郷田先生はしばらく何かを考え込んだ後、ハァと深いため息を吐いて
「…すみません。失礼な質問をしてしまって申し訳ありませんでした。」
心底申し訳なさそうに、謝罪の言葉を口にする。
そして、最後にこう言ったんだ。
「桐谷さん。」
「…はい。」
「現段階のアイツでは日本選手権の優勝なんて夢のまた夢です。場合によっては予選敗退という情けない結果すらあり得ます。申し訳ないのですが…最悪のシチュエーションも覚悟をしておいてください。」


