窓の外には
冷たい風を浴びてユラユラと揺れる、木の枝が見える。
そして遠くには淡く光る、体育館も。
私と拓真くんだけが閉じ込められた、この医務室
私は彼の背中を見つめながら、ゆっくりと体を起こす。
何も語らず
何も求めず
ただ外を見ながら私が話すのを待ってくれている、拓真くん。
拓真くんは…優しい
ぶっきらぼうだし
メールなんて絵文字の一つも使ってくれないし
用件だけをズバッと言っちゃうような人だけど、凄く凄く優しい人だ。
見えない
だけど見えやすい優しさで私を上手に、大事にしてくれる。
拓真くんの背中を見ながら『彼にすがれたらいいのに…』と心底思う。
私のこの重荷を全部剥ぎ取って
彼と荷物を半分こできたなら、私はどんなに楽になれるだろうかと思う。
楽になりたい
逃れたい
この荷物を放したい
だけど……
喉の奥まで出かかっている真実を
言葉にすることができないのは、どうしてだろう……。
全部ぶちまけてしまいたい。
“受け止めてくれる”と言っってくれた拓真くんを信じて、全部全部、洗いざらい話してしまいたい。
私をレイプしたのはキョウちゃんで
私をプールに突き落としたのもキョウちゃんで
私を苦しめる原因の全てはキョウちゃんなのだと、彼に全部話して、この重い荷物を全部手放してしまえたら、私はどんなに楽になれるんだろう。


