その不思議な言葉を使って
「苦しみは分け合うもの。
幸せは分かち合うもの。
よく言うだろ?結婚式で。」
拓真くんはこんなキザな言葉を口にする。
彼らしくない言葉に驚きながら、彼の瞳を見据えていると
「苦しみは誰かに話すことで荷物が半分になる、と俺は思ってる。誰かに話せばなんか楽になるだろ?」
そう言って
彼はニッコリとほほ笑む。
そして私の手をゆっくり取ると
「アンタが楽になりたいなら、解放されたいなら、話さなきゃダメだ。
誰かを悪く言うことは悪じゃない。
誰かを傷つけることであろうと、自分がされて苦しかったことは口にしたっていいし、相手を罵ったっていいんだぞ?
あんた…ちょっと潔癖すぎ。」
デコピンしながら
拓真くんは呆れたように笑う。
――イタイ…。
拓真くんにデコピンされたおでこを自分の手のひらでスリスリしていると、拓真くんは医務室の窓に向かってテクテクと歩き出す。
そして窓枠に手を置くと
「寒くなったな、最近。」
何事もなかったかのように外の風景を見つめている。
私に背を向けて
窓から見える大学の風景を楽しむ、拓真くん。
きっと、待ってるんだと思う。
私がキョウちゃんのコトを話すのを。


