カレのまっすぐな視線を受ける勇気は持てなくて、
「嫌ってなんて…いないよ。」
うつむきながらそう答えると
「ウソだ。」
拓真くんはきっぱりとこう言い切る。
「じゃあ…なんで俺を無視しだした?電話もメールも返してくれなくなったんだ?」
「そ、それは……っ!!」
反論しようとすると
「俺…ずっとわからなくて苦しかった。
アンタのコト、大好きだった。
大好きで大切で、なにより大事にしてたつもりだったのに…アンタは突然冷たくなった。」
悲しげな瞳をして
拓真くんは力なくそうつぶやく。
自嘲したように
肩を落としながら、
自信なさそうに。
「拓真くん……」
そんな彼を見ているのがいたたまれなくなって
ただカレの名前を口にすると
「俺……アンタがそう呼んでくれるのが好きだった。」
「…え??」
「アンタが俺の名前を呼ぶたびに飛び上がりたいくらいうれしくなって、心ん中がホッコリあったかくなったんだ。
今も…そうだ。」
そう言って、拓真くんは私の手を握る力を強くする。
「10年間俺は知りたいと思ってた。俺はずっと答えの出ない問題を心の中でずっとくすぶり続けてきた。
わかるか?10年だ。
……教えてくれ、桐谷さん。俺はアンタに何をした??俺はどうしてアンタに嫌われたんだ??」


