――こ、口実!!?



信じられない言葉に
カラダを硬直させて、ピキッと固まっていると


「だーってさ?
そうでも言わなきゃ美織は来てくれなかっただろ??
だ~か~らっ!響弥は口実。
本当の目的はキラの売り込みだ。」



大人げなくギャハハハ!と笑いながら
龍おじさんは私の肩をバッシンバッシン叩く。




な、なんですってぇ~~~っ!!?




――この不良中年め…!!





心の中でイラつきながら
龍おじさんを睨んでいると、龍おじさんはチッチッチッと舌打ちをしながら人差し指を揺らし



「オトナのビジネスにはズルさも必要…ってな。」



そう言ってニヤリと笑う。






「とにかく、キラのコトについては迅速に頼む。慎には俺からも話しておくけど、美織からもちゃんとアイツの耳に入れといてくれよ?」






優しい“龍おじさん”ではなく
敏腕オーナー“早坂龍”の顔を見せた不良中年に



「…はい。
きちんと社長にはお伝えします。
結果は後日お伝えしますので安心してください。」



怒りの感情を押し殺しながら
ビジネス仕様の口調で答えると



「うん、よし。
俺様は満足じゃ。」



ニッコリと満足げにほほ笑んで私の頭をポンポンと優しく叩く。