どちらかと言えば裕福な家庭に育って、愛情いっぱいに、なに不自由なく暮らしてきたキョウちゃん。
生まれ落ちた時から天涯孤独で、養護施設で愛に飢えながら大きくなった吉良光太郎。
二人の(根性のひん曲がった)性格はそーっくりなのに、二人が背負っているものは全く違う。
――だから…ぶつかるのかなぁ。
そんなどうでもいいことを考えていると
「おねーさん。」
「ふ、ふぇっ!?」
「アンタ…全く違うこと考えてるだろ。」
――す、するどい!!
吉良光太郎は私の心を透視したかのように、びしっとバシッと言い当てる。
い、いかん、いかん!!
今の私は仕事中っ!!
しっかりするのよ、美織!!
おバカな自分にカツを入れて
「そ、そんなことありませんわ。
社長になんてお伝えしようかと考えていたところです!」
しどろもどろになりながら
なんとも苦しい言い訳を口にする。


