雨が見ていた~Painful love~



「…え…??」


「同情するくらいなら、俺ンタの事務所でガンガン金を稼がせて欲しいんだけど。」


「ど、どういう…こと…??」



彼が求める答えが分からなくて、ただ戸惑ってオロオロしていると



「坊ちゃん育ちの藤堂と違って、俺は野良犬なの。今までは学費も全額奨学金をもらって、遠征費も施設費も大学側が払ってくれてたけど、卒業したら全部自分持ちでしょー??……競泳を続けるためにはさぁ、カネが必要なんだよ。莫大な資金が、ね?」



フフンと冷たく笑いながら、吉良光太郎はこんな一言を口にする。




「藤堂のクソヤローとこれから同じ空気を吸わなきゃいけないんだと思うと、正直虫唾が走るけどさ~あ?野望のためなら、それくらい我慢してやるから安心してよ。あんたがアイツの足をなめろ、って言うなら喜んでなめてやるからさ?」




クククと冷たい目で悪魔のように微笑む彼を見て、私は確信をする。






吉良光太郎のキョウちゃんに対するライバル心は半端じゃない。




“絶対にのし上がってやる!”



その思いが強ければ強いほど、キョウちゃんに対するライバル心は大きな憎しみとなって膨れ上がってしまうに違いない。





――危険…だ。





二人を同じ空間に置いておくだなんて……あまりにもリスクが大きすぎる!!