なんだかザワザワする胸を押さえながら。言いようのない息苦しさを感じながら、龍おじさんの次の言葉を待っていると
「キラには、家族がいない。」
「…え……??」
おじさんはわけのわからない一言を口にする。
その言葉の意味が分からなくて。でも何かイヤな予感を感じてグッと手のひらを握りしめていると
「……キラは生まれてすぐ、母親に捨てられたんだ。」
「…!!!」
「キラは養護施設で育った。
両親もいなければ、兄弟もいない。天涯孤独の身でここまで登りつめてきた苦労人なんだよ。」
龍おじさんはこんな信じられない一言を口にした。
――そんな…!!
ヘラヘラしていてつかみどころのない、チャラワンコな外見なのに、どこか飢えた野獣のような目をしたカレ。
そんな彼の裏側にそんなさみしい背景があっただなんて……
にわかには信じられない生い立ちに言葉を失って、絶句していると
「あのねー。
同情なんていらないから。」
鋭いナイフのような目をして、吉良光太郎は私を睨む。


