――龍おじさん……
私はその言葉を聞いて痛感する。
そりゃそうだよね。小さなころから成長を見守ってきたキョウちゃんだもん。
キョウちゃんのいいところも、悪いところも。可能性も、才能も、何もかも知り尽くしているのは、龍おじさんに違いない。
一番近くで選手としての成長も、オトナとしての成長も見守りたいと思っているのは至極当然のことのように思えた。
「うん…、その気持ち、わかる気がする。」
電話口でそう頷くと
「だろ?
じゃぁ、あと2時間後!16時にSGスイミングスクール事務所まで来いよ!じゃあな~!!!」
「え!え!えぇ~~!!??」
龍おじさんはまくしたてるようにそう叫んだあと、ガチャン!と勢いよく電話を切ってしまった。
ツー、ツー、ツー、ツー
受話器の向こうから聞こえるむなしい電子音を聞きながら、私はガックリと肩を落とす。
――そ、そうだった…
龍おじさんはパパ以上に…
ううん、
キョウちゃん以上に人の話を聞かない人だった…!!!
電話を持ったまま、ボー然と立ち尽くす私を見て社員の皆様は少しおかしな顔をして私を見上げる。
「あ、すみませんっ!」
その視線を感じて無性に恥ずかしくなってガバッと勢いよく座ると、私はスケジュール帳とにらめっこを始める。
今日はこの後、予定的には何もない。少し資料をまとめようと思ってたのに……。
ハァ……
ガックリきながら机の上を片付け始めると、私はSGスイミングスクールに行く準備を始めた。


