ハァ…とため息を吐きながら、私はデスクの上に広がった資料を見比べる。
キョウちゃんの為にベストな企業
私とパパが絞ったのは2つの会社
一つはキョウちゃんが昔所属していた
SGスイミングスクール
もう一つは大手の広告代理店
METSERA(メトセラ)
SGスイミングスクールなら、現役を退いた後もコーチとして働くことができる。
METSERAならキョウちゃんの興味のある、広告のお仕事ができる。
『ま、どっちを選ぶかはアイツに任せよう。水泳どっぷりの人生を選ぶもよし、第二の人生を歩むもよし。
選ぶとしたら…この二つだろ。』
そんなわけで、一度キョウちゃんとゆっくり話さなければならないのだけど……勇気が出せない私は、この仕事を棚上げにしてしまっている。
キョウちゃんと二人きりで会うのが怖い。今度はどんなイヤなことを言われるのかと思うと身がすくむ。
「はぁ……ヘタレだなぁ、私。」
ポツリと呟いて、机に突っ伏すと
♪Trrrr,Trrrr♪
デスクの近くにある電話が高らかに鳴り始める。
「はい、お電話ありがとうございます。
SKプロダクション、桐谷でございます。」
営業用の声で電話を取ると
「お。美織か??」
「龍おじさん!!」
電話の主は龍おじさん、こと
早坂龍さん。
パパの幼馴染でSGスイミングスクールのオーナーだった。


