*キスの味*〜とろけるようなキミとの恋〜




そして初日の放課後練習は終わった。



帰る相手がいないあたしは1人で校門をくぐった。


その時――


「……あ」

「……お」


自転車を押しながら校門をくぐる和田谷に遭遇した。



「和田谷って、チャリ通?」


「まぁな。チャリで15分くらい」


「近っ!」



あたし達は流れ的に一緒に帰ることにした。



「和田谷、足速いの?」


「中学は、陸上部だったからな」


「へぇー!」



あたしの知らない和田谷を知れて、あたしはなぜだか嬉しかった。



「高校はやんないの?」

「……あぁ。」


あれ?
和田谷の表情が曇った。


「女の子と遊びたかったから!」


急におどけて見せた和田谷が、なぜか無理してるように見えた。


「……和田谷、後ろ乗っけてよ!!」


「んー…お前はここ乗れ。俺はダイエットのために走る」


そう言ってあたしにサドルを持たせる。


なぜか遠回しに2人乗りするのを拒まれた気がして、胸が締め付けられた。


「じゃあ、和田谷走ってね!!」



あたしもあえて知らないふりをして全力疾走で自転車をこいだ。