「………栞〜!」
「奈津!」
あたしは朝練をしてるであろうグラウンドに行った。
栞はもう1人のマネージャーに何か言ってから、こっちに向かって走ってきた。
「おはよう」
「おはよう」
あたし達はグラウンド近くのベンチに腰掛けた。
「…奈津、なにかあったの?」
「……聞いてくれる?」
「当たり前!」
あたしは昨日の出来事を話した。
「それで、奈津は何でそんな顔してるの?」
「え……?」
栞はあたしの眉間を指で押した。
「困った顔、してる」
「……あたし、わからないの」
「え?」
「和田谷にあんなこといわれて、何で泣いたのかもわかんない。なんでこんなに、もやもやするのかも」
「……そっか」
栞はニコッと微笑んでから、あたしの両頬をつまんだ。
「笑って?奈津は、笑ってるときが一番だよ」
「……うん」

