けどね、家計が苦しくなってきて、そのうちお母さんはまたクラブで働き始めた。


それから夫婦の仲は崩れていった。


家で二人がいるときはいつも喧嘩ばかり。

お母さんの泣き声。
お母さんとお父さんの喧嘩の声。
お父さんの怒鳴り声。


いつの日か、私の家からはその声しか聞こえなくなった。


小さい私とお兄ちゃん。

二人とも小さいのに、小さいながらに、お兄ちゃんは私をかばってくれた。


二階の部屋で声が聞こえないようにして、
お兄ちゃんは私を明るくさせようとしてくれた。


そして、物心がついたときには、家にお父さんとお母さんがなかなか揃わなくなった。


お母さんがいるときはお父さんがいない。

お父さんがいるときはお母さんがいない。


そして二人がバッタリあってしまうと、喧嘩の声。



いつの間にかそんな家族になってた。