「今のは誰だ?」


「俺の患者ですよ」


話がずれた。
よかったけど、この話題もちょっとな…。


「りゆう…とは?」


あぁ…
"理由"と勘違いしてるのか?


「彼女の名前です。…こう書きます。」


持っていた紙に"安住川璃優"と書いた。


「ふうん…変わった名前だな…。あ、あのこ、喋れないのか?」


…やっぱ気づかれたか…。
そこは突っ込まれないわけないよなぁ…。



「本当は出るんですけど、なにかを抱え込んでいて、今は声が潰されてる状況です。」


そう。
いつになったら話してくれるのだろう。


そのためには、声が戻らないと…。


父さんにこんなこと言っていいのか?
と思いながらも、考えていた。