「圭吾さん、変じゃありません?」


要さんはクスッと笑って、入口の扉を開けた。


「あいつは、いつも変だよ――はい、どうぞ」


要さんが扉を押さえていてくれる。

わたしは軽く頭を下げて中に入った。


犬達が一斉に吠え立て、わたしはびっくりして要さんにしがみついた。


「みんな繋がれているから、大丈夫」

要さんが優しく言う。

「犬は怖いから吠えるんだ。ほら、あいつを見てごらん」


要さんが指さす方を見ると、大きなラブラドールレトリバーが檻の中でゆったりと寝そべって尻尾を振っていた。

ライオンみたい。


「あいつは頭がいいから、志鶴ちゃんが怖い人じゃないってちゃんと分かっている」


うん……なんかそうみたい


「小さい犬はいないんですか?」


「いるよ。小型犬と猫はあっちのプレハブ小屋の中だ」


わたしが動くと、犬達がまた一斉に吠えだした。