みんな、気にしすぎだよ。

ただの擦り傷じゃん。


そう高をくくっていた――圭吾さんが帰って来るまでは。


十時頃に帰って来た圭吾さんは、わたしの顔を見るなり、『怪我したって? どこ?』って聞いた。


「お帰りなさい」

母屋の居間でペロと遊んでいたわたしは、のんびりと言った。


「あ? ああ……ただいま」


「怪我って言っても転んで膝を擦りむいただけよ」


「どれ」


ちょっと!

いきなりスカートの裾、めくらないでよ!


圭吾さんは、ガーゼに覆われた膝を見て顔をしかめた。


「痛い?」


「もう痛くないよ」


膝をつかなきゃね。


どこでやった、何があった、どんな手当てをしてもらった……エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ