わたしも慌ててペコッと頭を下げた。


カッコ悪っ

彩名さんとか、優月さんなら、もっと優雅に振る舞えるんだろうな。

わたしは去って行くお婆さんの背中を見送って、そう思った。


『お気をつけて』って言えばよかった。

あーあ……お嬢様への道は遠いなぁ


ため息をついて家に帰ると、ペロがキャンキャン鳴いていた。


「さっきまでおとなしかったのよ」

伯母様が言った。

「志鶴ちゃんが帰って来たって分かったのね」


圭吾さんが帰って来た時のわたしみたい。


「みんなにチヤホヤされて嬉しそうでしたけれど、やはりご主人様が一番なのですね」

和子さんが言った。


「ペロ、いい子ね」


わたしが撫でてやると、ペロは頭をこすりつけるようにしてわたしに身を寄せた。


ああ、かわいい


「圭吾さんは?」


「お部屋にいらっしゃいますよ」