「圭吾がね」

悟くんは笑った。

「大輔よりも圭吾の心配しなよ」


そうか


「でも、学校でなら圭吾さんには分からないでしょ?」


「粘るね。そんなに兄弟が欲しい?」


「うん。悟くんにはいっぱいいるから、いいものだって気がつかないのよ」


「そうかも。うちの母は、子供の頃に弟を亡くしてるんだ。うちの兄弟が多いのはそのせいかな」


「きっとそうよ。わたしも赤ちゃん、いっぱい欲しいなぁ」


憧れを込めて言った途端、悟くんがむせ返ったように咳込んだ。


なぁに?


「圭吾にそれ、言ってみた?」


「ううん。ああ、でも似たような話はしたよ」


「け……圭吾は何て?」


ん?

何かおかしい?