だけど――


いつも『かわいい』としか言ってくれない圭吾さんが、『綺麗だ』って言った。


今、この瞬間、わたしはキレイ?

圭吾さんの心を、しっかりと捕まえるくらいに?


そう聞きたかったけど、言葉は出なかった。


「えーと」


わたしは、何だか決まり悪くなって俯いた。

何を言えばいいのか分からない。


「ベッドに入りなさい」

圭吾さんが言った。


「まだ眠くない」

「直に眠くなるよ」

「おしゃべりするって約束よ」

「分かっているよ」


圭吾さんは枕を直してわたしを寝かせると、毛布と掛け布団をかけた。

それから滑り込むように隣に入ってきて、片肘をついてわたしを見下ろした。


圭吾さんの温もりがわたしを包み込む。


「今日は髪をちゃんと乾かしたんだね」

圭吾さんが言った。