圭吾さんはクスッと笑った。


「お子様の志鶴が急に大人っぽい事をするから、焦ってしまったよ」


「失礼ね! お子様じゃないわよ!」


「ゴメンゴメン」

圭吾さんが笑う。

「すっかり待たせちゃったね。これから何したい?」


「話をしたい」


「話? 何の?」


「何でもいいの。ただ普通のおしゃべりがしたい。圭吾さんと」


圭吾さんは何とも言えない顔をして、わたしをそっと抱きしめた。


「後で――」

圭吾さんはわたしの髪に顔を埋めて、囁くように言った。

「後で一晩中でも話すから、先に君を抱かせて。我慢できそうにない」


わたしは圭吾さんの背中に手を回して、

「いいわ」

と答えた。