期待を込めて見上げると、圭吾さんは電話を切ってサイドテーブルに置いた。


「志鶴」


強張った声。

わたしは慌てて起き上がった。


「お話の邪魔しちゃった?」


恐る恐る聞くと、圭吾さんは首を横に振った。


「そうじゃない。こんな事、どこで覚えて来た?」


そう言って、私の口に指の先を差し込んだ。


「け、圭吾ふぁんかあ」

指が邪魔して上手く喋られない。


「僕?」


コクンと頷いた拍子に指が外れた。


「圭吾さん、わたしの指を吸うでしょ?」


「ああ……ああ、あれか」


「嫌だった?」


「いや。志鶴は?」


「好き。最初そうされた時は、食べられちゃうのかと思ったけど」